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第2回 Rally「中小企業における評価制度のポイント」講義レポート

  • 2020.04.17
  • 活動レポート

2020年3月16日(月)、中小企業診断士、窪田 司(くぼた つかさ)コォ・マネジメント株式会社取締役による、戦略的人事講座”Rally”、第2回目の講座が開講されました。

「高収益組織をつくるための組織体系」がテーマとなった第1回では、参加者自ら自社の組織マップを作成。コンサルタントなど外部の力に頼ることなく、組織を強化していく方法を身につけました。

2回目となる今回のテーマは、「中小企業における評価制度のポイント」。評価制度の意義を学び、自社に適した制度について考える講座となりました。

評価制度について窪田は、「項目3つ、A4シート1枚で効果は出せる」と明言。 すでに専門家の手を借りた評価制度を導入した参加者もいるなか、半信半疑な気持ちもまじったスタートとなりました。

講座のねらいと参加者の課題

今回のねらいは、「中小企業における評価制度をについて考え、持続的に活用できる評価制度を理解する」こと。

実践的な目標としては、「自社の評価制度の骨子を、講義終了までに下書きにする」ことが掲げられました。

参加者からは

・そもそも評価制度は絶対必要なものなのか

・これから評価制度を作るにはまず何をするべきか

・社員の納得感を得られる導入方法が知りたい

・専門家に作ってもらった制度を、どうすればスムーズに自社に落とし込めるか知りたい

・評価制度と報酬の連動についてヒントがほしい

・評価制度を成果につなげるポイントが知りたい

といった質問があげられました。

評価制度の目的と必要性を理解する

最終目標である「自社の評価制度の作成」に向けて窪田はまず、評価制度は査定と育成のために活用すべき道具であると説明。

社員を育成して生産性の向上を図り、企業の目標達成や業績のアップに繋げるためのシステムであることを強調しました。

経営者と従業員の距離が近い中小企業では、従業員による立場を無視した発言が組織を混乱させることも、評価制度を設定することによって防げると言います。

一方で多くの企業では、評価制度の運用に時間と手間がかかりすぎている現実も。

制度の作成にあたっては、「何をすれば会社の業績が上がるのか」という、業績を上げるための行動を抽出することが、コストを減らす上でも重要になると窪田は説明しました。

評価制度はいつから必要か 

中小企業経営者の多くは評価制度の導入時期を、「周りを見ていたらそろそろかなと思った」といった、あいまいな感覚で決めていると窪田。

導入時期については社員数が8人を超えたとき、あるいは職層が経営層・管理職層・一般職層と3階層に分かれたときが適していると明確な答えを提示しました。

8人、あるいは3階層の根拠は、業務内容や勤務地が分散し、社長がすべてを把握できなくなったときとしています。

では8人、あるいは2階層までの組織であれば評価制度は必要ないのか。

「今日の参加者からは、評価制度が必要だと伝わってこない」と笑いながら、社長がすべての社員や業務を管理できている会社であれば、評価の制度化は絶対ではないと窪田。

創業から関わっているメンバーが頻繁に集まって話をしているなど、会社が進むべき方向が共有できていれば不要と説明しました。

一方で社員は少なくても、評価制度を「成長支援制度」といった名前に変更し、業績アップにつなげている企業があることも紹介。 会社のフェーズによって柔軟に変化させてよい制度であることを伝えました。

評価制度策定時のポイント

中小企業における評価制度については、「策定と運用でそれぞれポイントがある」と窪田。

策定においては、以下のポイントを意識するよう説明しました。

①評価制度を作る目的が査定なのか育成なのか、あるいは自社の経営についての思いや理念を伝えるためなのかを明確にし、社員と共有する。

②自社メンバーで作成する。「自分で納得した制度によって、自分の処遇が決められる」ことで社員は制度に納得する。直接作成に関わらない社員からも、意見を聞く機会を必ず作る。

③評価項目は自社で修正できるフレキシブルな状態にしておく。実際の運用はボーナスや昇給に反映しない試行期間を経て、社員の意見を聞いた上で行う。 「覚えきれない評価項目は日々の仕事にいきてこない」と窪田。「項目は3つでも、社員が完璧に覚えて実行できれば業績は確実に上がる」と話しました。

評価制度運用時のポイント 

また運用について窪田は、以下のポイントを意識するよう説明しました。

①あらかじめ責任の所在と手段を明確にした上で、運用の仕組みを作成する。

②上司が意欲を持てない制度に部下はついてこない。幹部が方向性を統一し、機能させる。

③社員がどれくらいの期間評価項目を覚えておけるのかを運用前に検討し、一定期間が過ぎれば自然消滅することを前提に作成する。

「評価制度は、重要度は高いが緊急性が低い」と窪田。どれほど必要な制度であっても、急ぎでないものは消滅するとし、何か月に1回査定を行うのかなど、あらかじめ決めておくよう伝えました。

評価軸の説明と自社の評価軸の設計

参加者からも「経営の方向性などによって、評価の軸は変えた方がいいのか?」との質問があがった評価軸。

これに対して窪田は、「評価する軸は『これじゃないとダメ』なものはない」とした上で、

・能力主義

・成果主義

・行動主義

・職務主義

・勤続主義

・年齢主義

など様々な評価軸を、会社ごとに決めればよいと説明。社員の「何を」評価したいのかは、経営者の思いや社風に合わせて選ぶべきであると話しました。

また、賞与と昇給は何を基準に評価すべきかについて、

賞与は決められた期間に出した結果に対して

昇給は一時的な成果ではなく、能力に対して

評価すべきと回答。参加者からは、徐々に迷いの表情が消えていきました。

日本企業の害悪のように言われてきた”年功序列”についても、「自社は長く勤めてくれた人に価値を置くと決めたのであれば、それも一つの主義として十分機能し得る」と窪田。「伝統を守り、今の社風を大切にしながらでも、成長を促す制度は作ることができる」と伝えました。 

まとめ

評価制度は「『これをやることが、会社にとっての善になる』と、経営者と従業員が納得した制度を作り、運用しながら自社にあったものに作り変えていくことが大切」と窪田。

「実際に評価を行う際は、一人ずつ面談を行い、評価の根拠や次の期間にがんばってもらいたいポイントを伝えることが、制度が成功するかどうかのカギになる」と講座を締めくくりました。

終了後、何度も議論を重ねた隣の出席者と、「いろいろ悩まずに、まずは作って社内に『どう?』って聞いてみたらいいんだね」と、ホッとした笑顔で話す参加者の姿が印象的でした。

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Writer この記事を書いた人

ライター  黒田 靜

岡山県在住ライター。企業メディアや会社案内、採用関連、SNSのコンテンツ制作などを数多く手がけている。対面やオンラインでの取材をもとにした、人やモノの背景に深く切り込むストーリー制作が得意。

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