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第4回 Rally「有能ではなく有益を目指す育成の考え方」講義レポート

  • 2020.06.10
  • 活動レポート

2020年5月18日(月)、中小企業診断士、窪田 司(くぼた つかさ)コォ・マネジメント株式会社代表取締役による、戦略的人事講座”Rally”、第4回目の講座が開講されました。

第1回では組織、第2回では評価制度、そして第3回では採用について学んできた参加者。

第4回では育成について学び、自社の育成計画を具体化しました。

講座のねらいと参加者の課題

今回の講座のねらいは、「中小企業における人材育成を考え、自社の人材育成の体系図を理解する」こと。

実践的な目標には、「自社社員の成長させるべき能力と、成長させる手段は何かを講義終了までに下書きにすること」が掲げられました。

参加者からは

・窪田の人材育成理論が知りたい

・中小企業にとって最も効果的な育成の手段が知りたい

・育成内容が有効であるかを判断する基準が知りたい

といった要望があがりました。

窪田は「『どんな能力を伸ばすのか』を明確にできない研修はおままごとでしかない」と断じ、経営にとって必要な育成とは何かについて、講座をスタートしました。

人材育成の目的は何か?

第3回の講義では、自社の戦略に基づいた採用について学んだ参加者。第4回では、社員に足りない能力を補い、より高い利益を生み出す人材に育成するための方法を学びます。

講義のはじめに窪田は、「育成とは、広く社員を有能にするのではなく、会社に利益をもたらす能力を集中的に伸ばすこと」と定義。

採用と同様、育成もまた「自社の美学(理念・方針)にあう形で成果を出す」という目的を持って取り組むべきと話しました。

またここでは、現在多くの企業で行われている座学を中心とした研修(Off-JT)が形骸化していることを指摘。

大手人材育成エージェントの実施する研修でさえ、「何のために実施するのか」という目的が抜け落ち、受講後に何を身につけられるかを明確にできないものが多いとしました。

自身の研修については、「リターンを数値化して振り返りができない研修は、すべきでないと考えている」と窪田。

研修の価値は、講師に支払う授業料と、参加する管理職の人件費を上回る利益を得られるか否かで判断すべきと基準を示します。

「有名な人材育成会社だから」、「何かしら研修を受けさせておきたいから」といった安易な理由で研修を計画するのではなく、講師と内容が、自社の育成の目的を満たすものであるかは、厳しく審査するべきと伝えました。

人材育成は点ではなく線


次に窪田は、代表的な育成の方法としてOJT(通常業務の中で行われるトレーニング)をあげました。

研修などに代表されるOff-JTは、広い知識を体系的に学べる一方、現場での実用性が十分ではないことを弱みとしています。

対するOJTは、現場で必要な能力をスピーディーに身につけられることを強みとしており、多くの企業が採用しています。

ただ多くの中小企業では、OJTを間違って解釈しているのが現状。

意図:どんな技術を何のために習得させるのかを明確にする

計画:何年で習得すべき能力が身につけられるのかを示す

継続:反復して能力を定着させる

以上の3つの用件を満たさなければ、一般的にOJTとされる研修は「年齢の近い社員が、新人を現場へ連れ出して仕事を見せた」というOJTもどきでしかないと断じました。

ここまで、OJTとOff-JTの現状と改善点を説明してきた窪田。

的確な人材育成は、階級(一般職・監督職・管理職など)に合わせて、OJT・Off-JT・自己啓発などの育成方法を設定し、継続的に行うための計画を策定によってのみ達成されることを伝えました。

意欲の醸成と環境の整備

また育成には、「育成される側に成長意欲があることが大前提となる」と窪田。

人は自分ができると思っていること(自己効力感があること)に対しては高い意欲を持ち、できないと思っていること(自己効力感が低いこと)に対しては意欲を持ちにくいことを説明しました。

ローパフォーマーと呼ばれる人は、

①自己効力感が低い

②できると思えないので意欲がわかない

③意欲がないのでトレーニングに取り組まない

④トレーニングしないので成長速度が遅い

⑤成長できないので、「育成なんてムダ」との持論を形成してしまう

というループにはまり込んで成長の機会を自ら逃していると解説。

「成長意欲がない人を育成することはムダ」としながらも、

・成功経験

・代理体験:自分と似た立場の人の成功を通して成功のイメージを得ること

・社会的説得:第三者から「できる」ことを肯定されること

のいずれかが得られれば、成長意欲は醸成できると説明しました。

自己効力感を高め、成長意欲という土壌を育ててこそ、育成は効果を発揮すると窪田。

Rally1回目の講座で組織図を作り、2回目で評価基準を定めたことで、3回目では採用すべき人材をクリアにしていた参加者。

今回は育成の目的を明確にさせ、人材の定着に向けたサイクルをより強固なものにしていきました。

ジャンル別育成のポイント

雑談が熱い議論に発展していく光景が、「いつもの休憩時間」になりつつある4回目。

講座は認知的領域・情意的領域・精神運動的領域の3つのジャンルにおける育成のポイントに進みました。

ここで窪田は「人材育成はゼロイチである」とし、成果の見えにくさを指摘。

一方で目的を明確にし、計画的に実施されていれば、能力の顕在化は育成段階のどこかで必ず起きると説明しました。

「育成とは、水たまりに石を投げこむ仕事」と話す窪田。

水たまりに石を投げこみ続けたら(育成)、いつかはその石が水面上に姿を現す(成長する)ときが来ると言います。

また育成において注力するべきポイントは、以下3つのジャンルで違いがあると解説しました。

①認知的領域

読む・書く・記憶するといった頭を使うスキルにおいては、メモを取りながら何度も繰り返して定着させること

②情意的領域(態度の領域)

知識や技能をコントロールし、選択・実行するためのスキル(言葉づかいや、日常における肯定的な発言など)は、長期的に取り組むこと

③精神運動的領域

手でものをつかむ、細かく砕くなど体を使うスキルにおいては、スモールステップを心がけること

まとめ

今回の講座では、地方信用金庫に勤めた自身の経験を何度も例に取り上げた窪田。

認知的領域については、資格試験や検定試験によって自然に知識が増えたこと。情意的領域については、短い雑談の時間や、出張の移動時にくり返し上司と話したことが、自然と育成につながったとふり返りました。

一方精神運動的領域は、新入社員研修でのわずかなオペレーション研修にとどまったことで、個々のトレーニング状況で能力に差ができたと言います。

育成は組織のトップ自らが目的と内容を理解し、管理職と一体となって計画的に指導していかなければ、十分な成果は得られないとしめくくりました。

参加者の業種や取り上げるテーマにあわせて、数々の具体的事例を取り上げてきたRally。

今回も人材育成業界の裏事情など、個々の企業に深く関わってきた窪田ならではのエピソードが次々とオフレコで披露されました。

6月22日に予定されている5回目では、「定着率を上げる科学的な設計法」をテーマに全5回の締めくくりが行われます。

1社2名まで、最終回のみの参加も可能ですので、ぜひ次世代を担うスタッフも一緒にご参加ください!

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Writer この記事を書いた人

ライター  黒田 靜

岡山県在住ライター。企業メディアや会社案内、採用関連、SNSのコンテンツ制作などを数多く手がけている。対面やオンラインでの取材をもとにした、人やモノの背景に深く切り込むストーリー制作が得意。

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