2021年12月1日(水)、コォ・マネジメント株式会社主催「採用セミナー in 岡山2021」が行われました。
このセミナーでは、日本で初めて「採用ブランディング」という概念を理論化・体系化した、深澤 了先生による講演が実現。
前半の講義で行われた求人原稿への実践的な切り込みを踏まえ、後半のワークショップでは各社が向き合う採用の現状と、改善に向けた質問がいくつも挙げられました。
ここでは参加された方々からの質問も含め、鋭い指摘で課題にメスを入れた深澤先生のセミナーの全容をふり返ります。
1000社の採用から見た良い求人原稿、悪い求人原稿
この日行われたセミナーの前半では、「1000社の採用から見た良い求人原稿、悪い求人原稿」をテーマに、実際にあった求人原稿を例に挙げながら深澤先生が課題と改善点を指摘。
完成度の低い採用ページや、誰にでもあてはまるメッセージ、自社らしさのないスローガン、一貫性のないホームページやパンフレットなど、世にあふれる『採用のクリエイティブ』の抱える問題点が次々と挙げられていきました。
参加者が驚いたのは、サンプルが一見しただけでは「良くない」と感じられるものではなく、どの会社も参考にするような一般的なものであったこと。
深澤先生の指摘がなければ、恐らく自社も参考にしたであろう原稿にはたくさんの問題が含まれており、求職者を集める効果が期待できないことが説明されていきました。
問題を指摘する一方で、深澤先生は「訴求効果のないメッセージの代わりに、何をどう伝えるべきなのか」を具体的に解説。
短い原稿のなかでどのように「自社らしさ」を出し、活躍する人材を集めていくのかを訴えました。
深澤先生はまた、エントリー・説明会・面接という一般化した採用フローにも言及。
代表を務める「むすび株式会社」で支援したラーメンの直営店とプロデュース店を営む会社を例に挙げ、売上にも波及する採用フローのあり方を提示しました。
深澤先生は採用のクリエイティブにおける細かな問題点を挙げた上で、自著でまとめた法則を示し、多額の採用予算を使いながら、採用者ゼロを記録していた前述のラーメンチェーンの例をピックアップ。
社名変更や理念の整理を含め、採用の戦略、ホームページ、パンフ、採用のフロー、求人広告など全てを変えた経緯を解説していきました。
ここではスローガンを軸に、ビジョンを打ち出し採用フローを設計し、クリエイティブを徹底的に作り直したことで、有名ではない会社でも大手に負けない採用が可能になることを伝えた深澤先生。
採用ブランディングによって目標を達成した企業の例をいくつか加え、採用サイトのデザインやコンテンツの充実、ターゲティングの重要性などに触れながらまとめにつなげていきました。
前半の最後に深澤先生は、採用の成功法則と採用ブランディングの短期的、中長期的効果、そして経営に及ぼす影響について解説。
採用ブランディングは最終的に組織作りにつながっていくことを伝え、本講義を貫いた「なぜ採用をするのか」という質問に答えていきました。
地方採用に関するディスカッション
セミナー後半のワークショップでは、提示されたテーマに沿って各社の抱える課題を共有し、深澤先生が改善に向けた質問に回答。
実際の採用人数や目標人数、採用フローや面接、内定承諾、入社する人材の質について、各社とも様々な課題を抱えながら、試行錯誤していることが明らかになりました。
深澤先生は回答の際、それぞれの課題を指摘すると同時に現在の施策によって達成されている点についても言及。
たとえば「採用の目標人数は達成できていないが、人材の質は期待値以上である」といった会社の現状については、「活動量を増やせば目標達成は可能であり、質が期待値以上であるということは、メッセージは間違っていない」といった見解を示しました。
別の場面では、「ターゲットを絞り込むと、もしかしたら拾えた人材を取りこぼすのではないかと悩んでいる」と話した参加者に対し、深澤先生は「マストになる条件と、あればプラスとなる条件を分類することが必要」との考えを示すなど、具体事例を重ねながら問題のより深い部分に切り込んでいきました。
参加者の質問は時間とともに熱を帯び、数限りないセミナーの講師を務めてきた深澤先生さえ驚くほど。
最後は途切れることなく運営のもとに届いていた質問を切り上げてセミナーは終了し、新たな年に向けて「やるべきこと」を持ち帰ることのできた1日となりました。
ご登壇いただいた深澤先生、広く深い知見と心強い激励をありがとうございました!