「名の通った大手しか勝てない」、「中小企業に能力の高い人材は来ない」といった考え方が採用の常識となりつつある今日。
それでも採用弱者と呼ばれる中小企業が、勝てる戦略があります。
コォ・マネジメント代表の窪田が著書で強調した、「化ける人材」の採用がそのひとつ。
最近では新卒の学生や未経験者のなかから、成長の可能性を秘めた人材(=化ける人材)を見極めて採用し、会社に貢献する人材に育てていくことを「ポテンシャル採用」といい注目を集めています。
そこで今回は窪田に、ポテンシャル採用が注目を集める背景とメリットやデメリット、ポテンシャル採用を成功させるために企業がすべきことなどを聞きました。
新卒や未経験者採用は、すべてポテンシャル採用である
ポテンシャル採用を説明するにあたり、まず窪田が定義したのは、「潜在能力で判断していく採用は、すべてポテンシャル採用である」ということ。
すでに持つ能力(即戦力)で判断するのではなく、会社の求める人材に成長する可能性の高い人材を採用していく新卒採用や未経験者の採用はすべてポテンシャル採用であるとし、「採用ができなくなっているすべての企業に有効な方法である」と説明しました。
この採用方法が注目されることになった背景には、生産年齢人口が減少したことで人手不足となり、採用の難易度が上がっていることがひとつ。
さらには若年層の減少と中高年層の増加により、企業が求める「新しいスキルを習得し活躍できる」という条件を満たす求職者が減少していることがあると窪田。
採用そのものが難しくなったことと、若年層の求職者が減少したことで能力の高い人材の絶対数が減ったことが、「未経験者の可能性に賭ける」ポテンシャル採用に注目が集まる背景にあるといいます。
一方で「即戦力が取れない、応募が来ない」と嘆く企業のなかには、コロナ禍で進むオンライン化に逆行するかのように、新しく採用する営業職に対して「営業は足で稼げ」と直接訪問を推し進めるなど、起こすべき行動の設定を間違えている企業も。
自社の営業マンを対象とする場合であれば、「Zoomやデジタル資料を使いこなし、オンラインで顧客と密接につながること」など個々の企業や職種にとっての「理想的な行動」を明らかにし、採用活動を始める前に採るべき人材を明確に絞り込んでいくことが、ポテンシャル採用を成功させるためのファーストステップと説明しました。
ポテンシャル採用のメリットとデメリット
新卒や未経験者などが対象となるポテンシャル採用のメリットはまず、即戦力となる人材と比べて費用を抑えた採用ができる点。
それに加えて窪田は、社内全体の雰囲気が良くなることを挙げました。
ポテンシャル採用が社内の雰囲気を良くする理由は、「できることは少ないけれど、一生懸命がんばっているから育ててあげよう」という意識が先輩社員に芽生えるため。
対する即戦力採用は給与も高くなりがちなことから、どうしてもプロフェッショナルチームによる「お手並み拝見」といった雰囲気が高まりやすいといいます。
さらにうまく成長させることができれば、自社の知名度や給与では採れない人材を採用できる可能性があるところもポテンシャル採用のメリット。
育成にはある程度のコストがかかっても、中途採用では採用できないほど高い能力を身につけていくことを期待できるのがポテンシャル採用です。
若い分伸びしろが大きく、中途採用や即戦力とは違う成長曲線が期待できることもこの採用の大きなメリットであると窪田。
一方でポテンシャル採用のデメリットは、成長しない、あるいは期待したほど成長しない可能性がある点。
加えて若い美容師の離職率が高いことを例に挙げ、「専門学校へ通うなどその職業に就くためにコストをかけているような人でも、店舗を変わるのではなく美容師そのものが嫌になって辞めてしまうこともある」と指摘し、若年層の心変わりの可能性の高さは、ポテンシャル採用のデメリットであると解説しました。
カルチャーや社風を定義し、ポテンシャル(潜在能力)を見極める
最後に窪田は、「仕事とは、働くとは、目標とは、納期とは」といった、物事に対して暗黙の了解となっている意識を「社風、あるいはカルチャー」とし、それを言語化して合う人を採用していくことの重要性を指摘。
カルチャーに合う人を採用することは入社後のマネジメントにかかる費用を下げ、働く人自身の幸せにもつなげられるといい、小さな企業ほど注目すべき点であると説明しました。
ここで窪田が挙げたのは、とある建設会社の営業職に採用された未経験者。
前職は製造業の工程管理で現職とは全く異なっていたものの、現場での予測できないトラブルに長く対応してきたことや、繁閑のスケジュール管理、さらにはクライアントからの急な要請に柔軟に対応してきたことを潜在能力として評価され、採用されました。
結果的に彼は、クライアントや現場からの要請に快く対応し、納期の遅れなどストレスの多いスケジュール進行をうまくこなして多方面からのリピートを獲得。
継続依頼に支えられる建設業界において、瞬く間に高い売上成績を上げる人材となりました。
これは働き方の良し悪しではなく、この職種に求められる柔軟性やストレス耐性を彼が持っていると採用で判断できたところが成功の理由。
適した職種に就き思い通りの成果を上げられるようになった求職者と、期待した成果が得られた企業側、さらには柔軟な対応ができる担当者が得られたクライアントと三方良しの結果が得られたことは、ポテンシャル採用の大きな魅力といえると窪田は締めくくりました。
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