2022年9月2日(金)、コォ・マネジメント株式会社主催、「出版記念セミナー Final」がオンラインで開催されました。
ここでは神戸大学大学院 経営学研究科 准教授、服部泰宏先生と、コォ・マネジメント株式会社代表 窪田司が、2022年2月の出版を記念したセミナーと対談を実施。
窪田が自著を執筆するにあたり、最も影響を受けたと話す服部先生の著書「採用学」が上梓された頃から現在までの変化や、コロナ禍を経た採用の現状などを話しました。
このレポートでは、「就職活動における学生たちのモヤモヤ」を明文化し、企業の採用成功の糸口として研究を進められている服部先生によるセミナーと、窪田司との対談の全容をふり返ります。
第一部出版記念セミナー「採用学から考える現在の採用のポイント」服部泰宏先生
第一部では「採用学から考える現在の採用のポイント」をテーマに、服部先生によるセミナーが行われました。
この日服部先生が取り上げたのは、学生(求職者)たちの「モヤモヤ」。
コロナ禍を経たことで採用活動でもオンライン化が加速し、インターンシップや面接について「なぜオンラインで行うのか」、「なぜあえて対面で行うのか」といった理由についての説明を、学生たちは求めるようになっていることを例に挙げました。
服部先生は他にも、採用フローにおいて企業側から「なぜそれをするのか」といった明確な説明が得られないことや、十分な情報が提供されないことなどが学生たちのモヤモヤ(不満)につながっていると指摘。
さらにはこれまで主流とされてきた就職活動からは外れた活動を行う求職者も現れているとし、企業側はターゲットとする人材がどういったニーズをもって採用活動を行っているのかを把握し、それに則った採用設計が必要と説明しました。
服部先生はまた、心理学的な観点から企業側が陥りがちな間違った採用基準の設定などにも言及。
企業は自社での選考において「どういった場面で、どういった能力を見極めるのか」を明らかにした上で、面接を含む選考方法そのものを根本的に見直すことの必要性を訴えました。
魅力的な採用を設計し、採用力を上げる
セミナーの後半、服部先生は企業が人を採る力を意味する「採用力」に言及。
これまで採用力に影響を及ぼすと考えられてきた「業界と企業の魅力度」に加えて、今後は「採用の魅力度」がより重要度を増し、企業の採用力をかけ算的に増幅させていくと説明しました。
服部先生によると「採用の魅力度」には、人的な魅力と採用の設計的な魅力という2つのファクターがあり、これらをうまく活用していくことが求職者からの高い評価につながるとも。
「人的な魅力」については、採用に携わる人が自ら惹き付けを行うと同時に企業の文化を伝え、フィードバックを通じて求職者とより深い人間関係を構築することが重要であると解説。
また「採用の設計的な魅力」については、各フローが求職者の納得できるものであり、様々な場面ごとに良い経験(エクスペリエンス)が用意されていることが必要であると話しました。
服部先生はここで、自身の研究から得た、求職者の志望度やエンゲージメントを上げるために必要な5つのエクスペリエンスを提示。
参加者に対し、5つのエクスペリエンスのうち一つでも現在の採用フローの中で経験させることができているかと問いかけ、求職者の課題(モヤモヤ)を把握し、ニーズに応えていくことの重要性を指摘しました。
最後に服部先生は、採用活動は今後、季節に囚われないダイナミックな仕事になっていくといい、企業ごとにターゲットとする求職者の動きを見極め、独自の評価基準をもって採用を行う時代になっていくと説明。
「最初の数年の明確なキャリアイメージを提供し、地道ではあっても偽りのない未来を示すことが大切になってきている」と話してセミナーを締めくくりました。
第二部 採用学から考える化ける人材 服部 泰宏氏 ・ 窪田 司
続く第二部では、服部先生と窪田が「採用学から考える化ける人材」をテーマに対談を行いました。
窪田はここで、「近未来の約束を非常に求めている」と服部先生が触れた近年の求職者について質問。
服部先生は求職者のニーズが安定から「近未来の約束」に変化したことの背景に触れ、それに対してもやはり、企業側がそのニーズを満たしていけるかが採用のキーになると説明しました。
また服部先生は窪田の著書に対し、これまであった採用コンサルタントの提案書との違いを挙げ、さらに「採用期間における求職者の成長」に触れた部分に言及。
「化ける人材」を見極めるのに有効な評価基準であると同時に、多くの企業が採用に対して抱いている、「既にある能力を見極める」という固定概念を揺さぶったと高く評価しました。
続く窪田からの「『採用学』の出版から今日までの変化をどのようにとらえているか」という質問に対しては、「今まで当然だと思われていたことに、説明を求められるようになった」と服部先生。
セミナーを通じて訴えてきた「企業は変化してもしなくても構わない。けれどなぜ変化するのか、なぜあえて変化しないのかの説明が必要となり、またそのきちんと説明しようとする姿勢が評価される時代になった」ことを改めて強調しました。
服部先生はまた、これまでの採用活動が費用をかけることでしか勝負できなかったことに対し、フローを工夫することや、「モヤモヤ」を解消して採用の魅力度を上げていくことで小さな会社でも十分に戦っていけると説明。
そこに化ける人材採用をプラスして中小企業が採用に勝つことのできる道すじを示しながら、採用を「市場とのインターフェイスをコントロールする、幸福度の高い仕事である」と参加した経営者や企業の担当者たちを激励しました。
とかく企業側からの目線で設計することの多い採用を、求職者の「モヤモヤ」という心理状態に注目して課題の解決方法を提示してくださった服部先生に敬意を表し、本セミナーは終了。
ご登壇いただいた服部先生、明日からの採用に新たな視点をありがとうございました!
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