2020年12月1日(火)、中小企業診断士、窪田 司(くぼた つかさ)コォ・マネジメント株式会社代表取締役による、新卒採用戦略セミナーが開講されました。
会場は岡山商工会議所。参加者には会場とオンライン、いずれかを選んでもらう形で実施されました。
講座終了までの目標は、中小企業経営者や採用担当者が「新卒採用はうまくいかない」という思い込みを捨て、具体的な実践方法を知識として身につけること。
コロナ禍により主流になりつつあるオンライン採用の現状をふまえ、2021年からの新卒採用活動に向けた学びの場となりました。
講座のねらい
本講座では具体的に、
『中小企業は人材を新卒採用できない(量) 、中小企業は活躍する新卒採用はできない(質) という誤った概念を完全に否定し、打破する』
『採用をコントロールできる業務だと認識できる状態になる』
という2つのねらいが掲げられました。
窪田は「新卒採用がうまくいくかどうかを運任せにするのではなく、うまくいかなくても『これを直せばうまくいく』という再現性のきっかけをつかんでもらいたい」と話し、講座をスタートしました。
新卒採用は、「集める・選ぶ・動機づける」 シンプルな業務
講座の最初に窪田は、「採用活動とは求職者を集め、選び、自社を選んでもらえるように動機づけること」であり、決して難しいことではないと断言。
採用活動を”釣り”にたとえ、魚=求職者、餌=訴求ポイント、釣り場=接点ポイントとし、それぞれを分析していきました。
求職者については、最近の学生が楽しく働くことやプライベートとの両立を重視していることを示すデータを提示。
安定や自分のやりたい仕事を重視して会社が選ばれていることや、ノルマがきつそう、雰囲気が暗いといった会社が敬遠されていることを示し、ファーストコンタクトはこれらに応えるものでなければならないと説明しました。
また窪田は、コロナ禍において就職に関するイベントや会社説明会への参加が減少していることを指摘。
これまで以上に学生とのタッチポイントが減っていることを踏まえ、「自社のコンセプトに基づいた差別化・数値化・チーム化によって学生を効率よく魅了していくことが成功への道」と話しました。
採用活動を成功させるために最も重要なことは、「ライバルより自社が有利で、学生が重視する項目を見つけること」と話した窪田。
魅力の源泉となる「自社の武器」と「学生が重視すること」を的確にマッチさせることができれば、採用活動はさほど費用をかけなくてもうまくいくと解説しました。
自社に必要な人材をターゲティングすることの重要性
次に窪田は、「なぜ自社の求める人物像を書き出すことが大切なのか」について言及しました。
自社が求める人物像をクリアにしていく作業は、以下の2つに結びつくと説明した窪田。
・その人が抱える問題を想定できるようになる
・その人が持っていて、なおかつ自社に必要な要素(バックグラウンドや嗜好)が想定できるようになる
求める人物像を書き出す作業は相手を分析するのではなく、あくまで自社がどんな人物を求めていくかを明確にするものであると解説。
スキルとカルチャー(雰囲気)両方が自社に合わなければ、内定辞退、もしくは早期の退職に結びつくことを加えました。
「戦える媒体」とオンライン説明会での戦略
新卒採用の基礎と自社が求める人物像の書き出しについて説明した後、講座はいよいよ実践的な内容に。
窪田は求人を成功させるための言葉(キーワード)や、写真の選び方についても言及しました。
ここで強調されたのは、多くの企業が盲目的に掲載している大手ナビサイトでの採用活動の難しさ。
出会いをコントロールし、直接就活生にアプローチできる自社サイト、SNS、リファラル、YouTubeなど「戦える媒体」を見つけていくことが重要であると窪田は解説しました。
続いて講義は、コロナ禍によって行動が大幅に制限された2020年以降の採用活動とその戦略へ。
従来の「浅く広く学生を集める」説明会のスタイルはこれからいっそう困難を極め、オンライン説明会が台頭していくとの見方を示しました。
ここで窪田が強調したのは、「オンライン説明会において、ストレスのない環境で好感度を意識的に高めていく」ことの重要性。
スケジュール設計の段階から自社に親近感を持ってもらうことを意識し、親和性の高い先輩社員との接触を増やし、より多くの共通点を作っておくことが応募をスムーズにすると説明しました。
講義の最後に、窪田は全体の内容を3つに総括。
若手の人材市場は現在の読み通り、将来に渡って量、質ともに低下していくこと。
新卒採用は差別化・チーム化・数値化による勝てるコンセプトが重要であること。
”勝利の方程式”の定まっていないオンライン市場では、自社独自のやり方をいち早く見つけた会社が勝てるということ。
ディスカッションを重ねるたび前のめりになっていった参加者の熱気を残しながら、3時間の講義は終了しました。